マウスホイールでもぐいぐい拡大できます。スマホならピンチイン・アウトで。

2015年に撮影したスズメバチ。いろいろ見やすく作り直しました。顕微鏡用レンズを使っていますから、ぐいぐい拡大してもシャープな解像感を楽しめます。知人が「公益社団法人 神奈川県ペストコントロール協会」の仕事をやっているというので、スズメバチの標本を借りて撮影しました。ただで借りておいていうのもなんですが、写真の見栄えという点では、標本の善し悪しがすべてであることを知りました。拡大すると、傷とかゴミが結構目立つのですね。いやいや、写させていただけただけで感謝感激でございます。

スズメバチの全体像はこんな感じです。体長3センチちょっとあって、死んでいることはわかってさえ、戦闘的で怖いです。

少し技術的な解説を。小さな被写体を大きく撮影することを、マクロ撮影とか、接写、といいます。マクロ(macro)というと、大きいことや巨視的なことを指しますので、本来であればマイクロ(micro)というべきであってたいへんに妙なのですが、web上にも諸説があり判然としません。ともあれ習慣的にマクロ撮影といっていて、小さいものを撮影するレンズをマクロレンズと言っています。ちなみに、ニコンは「マイクロニッコール」という名称を使っています。

通常の一眼レフ用のマクロレンズやズームレンズのマクロ機能は、だいたい等倍撮影が限界です。等倍というのは、被写体の寸法がフィルム(センサー上)に同じ大きさで写る、という意味です。実際には写した写真を拡大して表示したり、プリントしたりしますので、10倍くらいは拡大して観察することかできます。

中間リングやベローズを使って、レンズとセンサーの間隔を大きくすることで、等倍以上に拡大して写すことができます。が、単純に像を大きくしているだけなので、解像度には限界があります。解像度を高くするには、拡大しても画質がよいレンズを使います。引き伸ばしレンズを使ったり、一眼レフ用の広角~標準レンズを逆向きにセットするなどの裏技的な技法もいろいろあります。

ここでお見せしているスズメバチの頭は、だいたい5mmくらいの大きさ。これをフルサイズ一眼レフでだいたい目一杯に撮影していますから、大雑把に5倍くらいの拡大になります。ここまで来ると、顕微鏡用のレンズの登場と相成るわけです。今回使ったのは、5倍の無限補正対物レンズです。顕微鏡用のレンズにも深い深い「沼」があり、これにハマるとたいへんなことになります。

 

さて、小さいものを撮影しようとすればするほど、ピントが合う範囲(被写界深度)が狭くなっていきます。次の写真に、実際に撮影した一枚を掲載しますが、頭と目、口の髭にしかピントがあっていないことがわかります。レンズの絞りを絞れば多少、広い範囲にピントが合うようになりますが、あんまり絞ると解像度が落ちていきます。こういうややこしいところが、光学レンズの宿命です。

しかしまあ、デジタル技術というのは凄いもので、ピント位置を少しずつずらして撮影したたくさんの写真から、ピントが合っている部分を抽出して合成する、ということができます。これを「フォーカス・スタック」といい、専用のソフトがいくつか市販されています。

このスズメバチの頭は60カット程度の写真を「フォーカス・スタック」して作りました。なお、ピント位置をずらしながら撮影しますから、婉曲的に「距離情報」も得られることになります。なので、スタック用の一連の写真から、ステレオ画像を得ることもできます。

こうして作成した3DのGIFアニメ(300×300ピクセル)を下に掲載します。これをクリックすると、1335×2000の高解像度版を見ることができます(約20MBありますのでダウンロードに時間がかかりますが、拡大してスクロールでき、大迫力です)。

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