360°パノラマ用に使う写真は、レンズ中心を軸にしてカメラを回転して撮影します。

 レンズ中心は、ノーパララックスポイント(パララックス/視差がない点)とか、ノーダルポイント(交点/レンズの中で光が一点に交わる点)と呼ばれます。多くのサイトではノーダルポイントを採用しているようですので、これに倣って、以後、ノーダルポイントで通しましょう。

 ノーダルポイントは、基本的に「絞り」の位置に相当します。もちろんレンズ設計の時点で正確な位置が計算されているはずですが、レンズメーカーは公開していないようです。

 ※コチラによると、ノーダルポイントは一カ所ではなく、画角などによってズレがあるようです。メーカーが公開しないのは、こういうことが理由なのかもしれません。

 ですので私たちは、自分でノーダルポイントを探さなければなりません。
 そうはいうものの、それほど厳密になる必要もないようで、遠景撮影なら数ミリ~数センチのズレがあっても、写真を繋ぐソフトで十分補正できます。例えば、空撮のような状況であれば、数十センチから数メートルの差があってもなんとかなるそうです。
 もちろん、近景撮影や足元の画像を合成して三脚を消す際には、視差はできるだけ少ないに超したことはありません。
 どのくらいの許容量ならokか? は、被写体の距離や、撮影の目的、ワークフローによって大きく変わります。何回も失敗を重ねる中で、経験的に導き出すのが一番のようです。
 そもそも、厳密な数値がわかったとしても、現場で完璧にカメラを回転させて撮影することは、なかなか難しいのです。
 ここでは、1)ノーダルポイントとは? 2)ノーダルポイントを探す。3)撮影のポイント。の順で整理していきます。

1.ノーダルポイントとは?



 普通にパノラマ撮影をしようとすると、三脚にカメラをセットして、そのままパンニング(カメラを左右に振る操作)するはずです。
 この場合、カメラは、三脚穴のあたり(雲台によって違います)を中心に動きます。

 もちろん、一般的なパノラマ撮影なら、これで十分。後はパノラマソフトにお任せで、いいように画像が繋がります。
 そんなことよりも、左のフラッシュがイライラすると思いますので、画面をクリックして止めてください。

 ともあれ、写真のつなぎ目はどうなっているか? というと、このような感じになります。



 カメラを左右にパンしているだけなのですが、花と背景の位置がズレていることがわかります。つまり、三脚にカメラをつけただけでパンニングするのでは、被写体の前後で位置関係がズレて写りますから、つなぎ目がとても不自然になってしまうわけです。
 不自然というよりも、ちゃんと繋げることはできない、と考えたほうがよいでしょう。

 この原因は、カメラの視点(ノーダルポイント)がズレているから、なのです。




 左が、ノーダルポイントをカメラの動きの中心に合わせた動きです。
 ニコン10.5ミリ魚眼レンズの場合は、だいたい金色の線のあたりにノーダルポイントがあります。つまり、金色の線の真ん中を中心にカメラを動かすことで、カメラの視点を一点に合わせることができます。

 ただ、通常の三脚の雲台では、このような動かし方はできません。このために、パノラマ専用の雲台があるわけです。

 では、ノーダルポイントを中心にカメラを動かすことで、実際に画像はどのように写るのかを見てみましょう。

 花と背景の位置関係のズレがなくなっています。
 つまり、ノーダルポイントを正確に合わせて撮影すれば、魚眼レンズ特有の歪みを補正して画像を重ね合わせるだけで、ピタリと隣同士の画像がつながるのです。
 ああ、なんてカンタンなんでしょう!


※ここで使用しているパノラマ雲台「ノーダルニンジャ」は、宮崎県のよしみカメラ(ここだけ! 他では扱っていません。)が日本での代理店になっているようです。海外からの購入が怖い人、すぐに使ってみたい方は、よしみカメラへgo! 「ノーダルニンジャ3」がオススメです。

2.ノーダルポイントを探す。

 事程左様に、360°パノラマにとってノーダルポイントが重要であることがご理解いただけたと思います。
 ですから、パノラマ撮影をする人たちは、ノーダルポイントをスピーディに正確に求めるための方法を模索しています。
 単純には、視差がないポイントを探す、ことに話は尽きます。
 私が知りうる限り、もっとも簡便かつ正確な方法は、コチラです。
 5円玉を針金で支えて三脚に固定し、この穴を通して遠い対象を目標にします。次にカメラを左右に振って、目標の位置がズレないカメラ位置を探す、というものです。

 ここでは、この方法とノーダル・ニンジャの使用説明書を参考に、もっと手抜きができる方法を紹介します。

ステップ1)雲台の中心と画面の中心を合わせる。




 まず、パノラマ雲台にカメラをセットし、真下を撮影する方向にカメラを向けます。
 雲台の目盛りを参考にするのですが、ノーダルニンジャの場合、写真に見える方向の目盛りと裏側の目盛りが最初からズレていたりするので笑えます。日本製だとこういうことはないのでしょうが、目盛りを絶対的に信用しない習慣をつけるのもよいことかと思ったりします。

 この状態で、パノラマ雲台の中心が、カメラの画面の中心に写るよう、支柱の位置を調整します。カメラの「振り」なども微調整しますが、冒頭に書いたとおり、それほど神経質になることもありません。

 高級なカメラはそうではないのですが、コンシューマ向けのカメラの場合、ファインダーを覗いた時に見える画面中心が、写真に写る画面中心とは少しズレたりします。
 こういうところで安上がりにしているのだなぁ、と感慨もひとしおです。

 そうして合わせた結果が下のようになります。カメラを再生モードにして、拡大表示をすると(右写真)簡単かつスピーディにあわせられます。


 

ステップ2)穴を通して目標を狙い、ノーダルポイントを合わせる。


 5ミリ程度の穴(5円玉など)を左の写真のようにセットします。

 穴越しに、分かりやすい目標を決め、カメラを左右に振っても、穴から同じ目標が見える(視点がずれない)ように、カメラの位置を前後に動かします。

 ステップ1)で雲台の中心と画面の中心が正確に出ていれば、カメラを前後に動かすだけで済むはずです。

 これでノーダルポイントが出ました。目盛りの値などをメモしておきましょう。

 

3.撮影する。




 ノーダルポイントさえ出てしまえば、後は簡単。雲台を水平方向にぐるぐる回して撮影した後、カメラを上向きと下向きにして撮影します。
 レンズの画角やセンサーサイズ、あるいは撮影目的によって、撮影枚数や角度が変わりますが、要は、360°全方向に抜けがないよう、そしてある程度の重複をもって撮影するのです。
 うっかり者の私の注意点は下記。


1)雲台の水準器などを使って、水平を正しく出す。

2)回転した後は、ノブをしっかり回して固定する。

3)レリーズを使って、カメラの微動をなくす。



 さて、ここまで来たら後はソフトでつなぎ合わせてぐるぐる回すだけです。

・・・・・今回はここまで。