コチラでは、シグマ10~20ミリ F3.5を使って、水平6、天地4カット、合計10カットで撮影する方法を紹介しています。
 これはこれで十分な成果を得られたのですが、実をいうと、画面周辺部の重なり具合があまり良くなく、フォトショップで無理やり調整した部分も多いのです。

 この原因は、1)ノーダルポイントのズレ、2)歪曲収差、にあるように思うのですが、よくはわかりません。(魚眼レンズを用いる方がはるかに楽に精度のよい合成が可能です。)

 ここでは、シグマ10~20ミリ F3.5を10ミリ側で撮影し、PTGuiを使ってできるだけ簡単に精度の高い合成ができる方法を考えます。
 撮影カット数は、天1、上45度×4カット、水平8カット、下45度4カット、底1カット+三脚無し1カット、の合計19カットです。

 手順は以下の通り。

  1. ノーダルポイントを出す。
  2. 撮影。
  3. PTGuiで合成開始。
  4. 精度を上げる。
  5. 三脚を消す。
  6. 最終調整と書き出し。

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▲シグマ10~20ミリで高精度なフルパノラマを作ります。

1.ノーダルポイントを出す。

 カメラ(レンズ)の位置のほんの少しのズレが、魚眼レンズよりも大きく影響するようなきがします。
 つまり、ここから先の合成のトラブルは、パノラマ雲台とノーダルポイントの設定以外の部分にある、と考えてよいはず、です。


●水平方向の調整

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▲水平方向に動かしてノーダルポイントを設定します。


●垂直方向の調整

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▲垂直方向にも動かしてノーダルポイントを設定します。

2.撮影。

 
 撮影順に、天1、上45度×4カット、水平8カット、下45度4カット、底1カット+三脚無し1カット、の合計19カットです。(下の表示の順はスペースの都合で変えています。)

 水平方向は6カットで済むところを8カット。天地の他に、45度方向も撮影していますから、かなり余裕があります。なので、実質的に使用する部分は画面中央部だけになって、割合楽に合成できそうなのですが・・・。

●天、底面、三脚無しの底面の撮影結果
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▲底面は、最後に撮影しています。
●上45度の4カット
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▲上45度向き(90度おき)。

●水平方向の8カットです
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▲水平方向の8カット(45度おき)。

●下上45度の4カット
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▲下45度向き(90度おき)。

3.PTGuiで合成開始。

 底面の三脚無しを除く、18カットをPTGuiに読み込ませ、合成を始めます。 
 何も設定せず「Align Images」をクリックしても、とりあえず合成できます。ところが、その後の精度向上がなかなか上手くいきません。

 まず、「レンズセッティング」で、レンズの種類を正しく設定しておきます。

シグマ1020
▲三脚無しのカットを除く18カットを読み込ませてスタートします。

シグマ1020
▲「レンズセッティング」タブの「EXIF」で、レンズの種類を「Rectilinear(ノーマルレンズ)」に設定します。

シグマ1020
▲「Align Images」をクリック(メニューからでもよいし、プロジェクトアシスタントタブからでもよい)します。

シグマ1020
▲パノラマエディターで見る限り、十分良い結果です。ブレンドの境界を表示させ、気になる部分を拡大してチェックします。

シグマ1020
▲他の部分にも似たようなズレが多く、あまり良い結果とは言えません。これをマスクやフォトショップで修整するのは、かなり難儀です。

シグマ1020
▲本来行う必要はないのですが、ここでオプティマイズをしてみると案の定「not so good」という結果です。

4.精度を上げる。

 基本的には、不良コントロールポイントの削除(または、コントロールポイントの手動追加)とオプティマイズ、が中心的な作業になります。

 ただ、手動でコントロールポイントを追加するのは、かなり面倒ですのでできるだけ避けたい。そしてまた、どういう理由かは今一つ理解できないのですが、「ビューポイント」の設定を行うことで、かなり良い結果を簡単に得らました。

(もしかすると、カメラを回転して撮影する時に、ノーダルポイントがズレていたのかもしれません。あるいは、レンズの歪曲収差を補正するのに、ビューポイントをズラすことが有利に働くのかもしれません。この件、後々考えてみたいと思います。)

●ズレがかなり大きい不良コントロールポイントを削除。
 とりあえず大まかに、かなり悪いコントロールポイントだけを削除してみます。ズレの数値は、後で行うビューポイント設定によって、かなり改善されます。

(この操作がどの程度の効果をもたらすかは、わかりません。三桁以上のコントロールポイントだけでもよいかもしれません。)

シグマ1020
▲大まかに、かなり悪いコントロールポイントを削除します。

シグマ1020
▲ここでオプティマイズ。結果は「good」に。さらに不良コントロールポイントを削除すれば、数値自体はよくなります。

シグマ1020
▲ズレはかなり改善されました。が、あと一歩です。(緑部分はズレがほとんどなくなりましたが、黄色部分には残っています。他の部分も同様です。<

●「ビューポイント」にチェックを入れてオプティマイズ。
「オプティマイズ」タブの「ビューポイント」は本来、ノーダルポイントのズレを補正するための機能なのですが、これにチェックを入れてオプティマイズを行うことで、画像のズレがかなり改善されます。ズレが少なくなりますから、オプティマイズの結果も自ずとよくなります。

シグマ1020
▲「オプティマイズ」タブで、「ビューポイント」にチェックを入れ、オプティマイズボタンをクリックします。

シグマ1020
▲結果は「very good」に。ズレの平均は、1.32・・・です。

シグマ1020
▲ズレがほとんどなくなりました。

●不良コントロールポイントを削除。
ズレが「5」以上の、不良コントロールポイントを削除します。 結果が目に見えて向上するわけではありませんが、気分の問題で・・・。

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▲ズレが「5」以上の不良コントロールポイントを削除します。

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▲オプティマイズ結果は「very good」のままですが、ズレの平均は 1.12・・・と少なくなりました。

5.三脚を消す。

 三脚は、下45度の4カットと、底面を写した1カット、合計5カットに写っています。
 これを、三脚をずらしたカットを使って、消します。
 手順は次の通り。 

  1. 三脚無しの写真を追加する。
  2. 三脚ありと無しの2カットに、コントロールポイントを手動で追加する。
  3. 元画像の全てのチェックを外してオプティマイズ。
  4. 三脚無しの画像の「ビューポイント」にチェックを入れてオプティマイズ。 
  5. マスクを使って三脚を消す。 

シグマ1020
▲三脚をずらした写真を、PTGuiの画面にドラッグして追加します。

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▲コントロールポイントを手動で追加します。底面の平面部にのみ追加し、浮き上がった部分や沈んだ部分には追加しません。

シグマ1020
▲元の写真(三脚無しの底面写真以外)のチェックを全て外してオプティマイズ。そのままでも上手くいくこともあるのですが、運が悪いと、全ての画像の位置がズレてしまいます。

シグマ1020
▲オプティマイズ結果は「very good」に。ズレは、1.55・・と少し大きくなりました。

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▲三脚無しの底面写真の「ビューポイント」にチェックを入れて、再度オプティマイズ。

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▲この時点のパノラマエディターの表示です。まだ、三脚の一部が消えていません。

●マスクを使って三脚を消す。
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▲下45度の4カットに写った三脚をマスクで隠します。マスクの「書き出し/読み込み」を使えば簡単です。

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▲底面写真の三脚をマスクで隠します。

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▲パノラマエディターの表示を見ながらマスクを調整し、三脚が消えたことを確認します。

6.最終調整と書き出し。

 
 ズレがなくなったらOKですが、追加した底面写真の余分な部分が出てこないようブレンドプライオリティを低く設定します。さらに、画面の垂直を正しく表示するために、「垂直コントロールポイント」を追加し、オプティマイズを行ったら、やっと完成です。

 今回は、三脚の一部が重なっていたので、ほんの少しだけ空白ができてしまいました。これはフォトショップで修整します。
 実質18カット分ありますから、画素数を大きくすることができます。高画素数にするのであれば、「psb」形式を使用します。

シグマ1020
▲三脚無しの底面写真の、周辺部を隠すためにく、「イメージパラメータ」タブの「ブレンドプライオリティ」を「20」にします。

シグマ1020
▲垂直のコントロールポイントを追加し、オプティマイズを行います。これで、垂直の線が正しく表示されるようになります。


 
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▲出力の設定を確認して出力します。

 
シグマ1020
▲プロジェクトを保存して、いざという時に備えます。

●完成!
 フォトショップで部分修整と、色・明るさの修整を行って完成です。
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▲写真をクリックすると、パノラマが始まります。

 以上。
 コントロールポイントを追加したりマスクで修整するのは底面写真のみで、基本的な操作はほとんどオートマチックにでき、しかも精度もよい方法になったと思います。
 このワークフローは、魚眼レンズでも応用可能でしょう。

・・・・・今回はここまで。