基本的な撮影方法は、コチラ
 対角線魚眼レンズを使用している場合は、水平方向6カット、天地をそれぞれ1カット、合計8カット撮影します。
 全周魚眼レンズを使用している場合は、水平方向4カット+天地2カット。もしくは、カメラをやや上向きにして、水平方向4カット+底面1でもok。
 レンズの画角や画像の重なりをどのくらい見積もるか? によって、カット数は変わります。計算する場合や、カメラやレンズとの組み合わせによるカット数を知りたい場合は、コチラを参照します。

 ここでは、何かと難しい底面の撮り方について整理していきましょう。
 記事を書くためにいろいろ試してみて、改めて、当てずっぽうでやっていると無駄と失敗が多くなることを実感しました。撮影の手順を自分自身で入念にシミュレーションしてから、本番に挑むのがよいですね。反省、反省、大反省。

1.底面写真は、なぜ難しいか?

 底面写真は、ノーダルニンジャの腕の部分を回転し、カメラを下向きにして撮影するだけですから、撮影自体が難しいということではありません。
 難しいのは、パノラマ画像を合成する時に、三脚や自分自身の姿を「消す」必要があるためです。このため、三脚や自分ができるだけ写らないようにするだけでなく、他の画像で補えるように撮影しなければなりません。
 もちろんこれだって、同じカメラポジションで撮影するならそれほど難易度は高くないはずですが、パノラマ撮影ではカメラをグルグル動かしながら撮影しますから、画面のどの位置に、何が、どのくらいのサイズて写っているのかを想像するのが、とてつもなく難しくなってきます。
 現場でいちいち考えながら撮影するのは、およそ不可能ですから、予め手順をしっかり考えておいた方が成功の確率が高くなります。

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▲カメラを下向きにして撮影するだけですから、撮影そのものが難しいわけではありません。

●たとえば3ウェイ雲台を使うと・・・
 ノーダルニンジャの水平バーにクイックシューを付けると、三脚へのセットがとてもスピーディになり、水平出しも簡単になります。また、カメラとノーダルニンジャのクイックシューと揃えておけば、通常撮影にも三脚を使用できて便利なのですが・・・。
 3ウェイ雲台のパン棒が意外に大きく写ってしまいます。
 また、この作例では、三脚の足を長く出して、エレベーターを使っていませんから、当然のこと、三脚の足も大きく写ります。
 さらに、自分自身の立ち位置も最悪。底面の多くを自分で隠してしまっています。

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▲3ウェイ雲台の上にノーダルニンジャを載せて使うと便利そうですが。

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▲自分自身がどこに立って撮影するか? も重要なのです。

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▲雲台のパン棒、三脚の足、自分自身の足・・・これらが底面を隠してしまっていますから、パノラマ合成ができにくくなります。

2.ボール雲台を使う方法

 パン棒の短い3ウェイ雲台の他に、ボール雲台を使うのも作戦です。ただ、うっかりボールを緩めてしまうと、カメラやノーダルニンジャごと落下することがありますので、それなりに神経を使います。
 
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▲ボール雲台を使うと、邪魔なパン棒が写りません。

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▲ノーダルニンジャの垂直バーの後ろに隠れるように撮影します。エレベーターも最大限使用します。

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▲三脚の足元以外、だいたい隠れました。これで、後処理がかなり楽になります。

3.三脚なしの底面写真を撮る

 パノラマ合成の肝心要は、「三脚を消す」こと。このために、三脚が写っていない底面写真を撮影しておき、三脚のある底面写真と合成します。
 さまざまな方法があるのですが、基本的なワークフローはこちらを参照してください。

 単純には、三脚からカメラを外し、手持ちで撮影してもよいのですが、撮影場所が暗い場合はブレが心配です。また、底面に段差が大きい場合などでは、合成の手間が大変複雑になります。このため、できるだけ、ノーダルポイントを動かさない写真を撮影するのがコツとなります。(と思っていたら、意外なことがわかりました。--最後までお読みください。)
 しかし、誰もが思うよう、これが一番難しいのです。人それぞれ、さまざまなノウハウがあるようですので、自分に合った方法を考えていきましょう。

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▲まず、基本どおり、自分が隠れて写ります。分かりやすくするため、床に、三脚の足先の位置をマーキングしています。

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▲三脚を動かす方向の三脚の足の先端に、自分の爪先を当て、位置決めしておきます。三脚の移動先が決まるまでは、足を動かしません。

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▲ファインダーを覗きながら三脚を平行移動し、ノーダルニンジャや三脚で、自分の爪先が隠れない位置まで、カメラを動かします。

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▲自分の爪先(もともとあった三脚の足の先端部)が見える位置に移動します。これを、元の底面画像と合成することで、全ての底面が写ることになります。

4.このまま撮影しても合成できます。

 この状態では、ノーダルポイントがずれまくり。なのですが、底面が平面なら、画像の「変形」を行うことで、元画像にピタリと合成できます。大判カメラでアオリ(シフト)を効かせて撮影したのと同じですね。
 ただし、魚眼レンズの遠近感を補正するのは、フォトショップでは難しいかもしれません。
 パノラマ合成ソフト「PTGui」では、「view point」の機能を使えば、おどろくほど簡単に精度のよい合成ができます。

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▲床が平面であれば、このまま撮影しても、画像合成をぴたりと合わせることができます。

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▲画角が広い魚眼レンズですから、カメラを下向きにしたまま撮影するので十分なのです。

●カメラの向きを変えると?
 なんとなく人情で、カメラを斜めに向けて、三脚があった位置を狙って撮影したくなるのですが、悲しきかな、ノーダルポイントが出ているために、三脚があった底面の写る範囲は同じまま、形が変わって写るだけです。

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▲カメラを斜めにして撮影したくなるのが人情なのですが・・。

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▲カメラを斜めにしても、ノーダルポイントは同じなので、三脚の足元が余分に写るわけではありません。

5.ノーダルポイントを再現する撮り方

 床が平面でなく、でこぼこがあったり、さらに精度のよい底面画像にしたい場合は、できるだけノーダルポイントを再現するようなカメラ位置にして撮影します。
 十分に明るい場所なら、手持ち撮影が簡単ですが、精度の限界はあります。
 三脚を斜めセットして撮影すると、カメラをそれなりに固定できますから、暗い場所などで有利です。ただ、精度が高くなるわけではありません。
 しかしねぇ。怖いですね。うっかりすると、カメラもレンズも確実に壊れます。

nodal ninja
▲三脚の足を不均等に伸ばして、足で押さえて撮影します。かなり傾けているつもりでしたが、それでもカメラが水平になっていませんでした。

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▲まあまあよい感じですが、もともと三脚があった床面が、それほど余分に写っているわけではありません。怖い思いをしても、ほとんど効果は期待できない方法です。

 簡単なテストでしたが、常識的な判断とは違い、ノーダルポイントを出す方法がそれほど効果的ではないことがわかりました。床が平面なら、三脚をずらしただけで撮影するほうがよいようです。
 ううむ、本当かなぁ? と思うでしょう? でも、作図をしてみると、これが正しいことがわかります。床が広く写らない原因は皮肉にも、ノーダルポイントを出した雲台を使っていること自体にあります。

 もちろんですが、床にでこぼこがある場合や、フォトショップなどで合成処理を行いたい場合などには、ノーダルポイントを再現した方がよいのです。このあたりは、撮影シーンや目的によって判断するのがよいでしょう。

●それでも信じられない方へ・・
 私自身、我が目を疑うような発見でしたので、にわかには信じられない方も少なくないでしょう。
 ですので、図解しておきます。
nodal ninja
▲カメラの下にある赤がノーダルニンジャの中心軸と雲台で、これらが邪魔をして底面を隠しています。三脚を傾けても、カメラの向きを変えても、この角度「α」は変わりません。なぜなら、ノーダルポイントが正しく出ているためです。
 説明は省きますが、底面の隠れる部分がもっとも狭くなるのは、三脚を「α」だけ傾けた場合(緑色)です。そして、傾け方が「α」よりも小さく(青)ても大きく(赤)ても、隠れる部分が大きくなっていくのです。
 要するに、三脚を傾けることで、底面が多く写るということはほとんどありませんし、傾け過ぎると却って隠れる部分が多くさえなってしまうのです。
 また、実際の「α」はノーダルニンジャの形状(垂直バーと中心軸や雲台のサイズ)によって決まってしまい、5~10度程度と考えてよいでしょう。ということはつまり、三脚を傾けることは、底面を写すことに関しては、ほとんど逆効果なのです。

・・・・・今回はここまで。