ふと、思いついたのです。
 ニコンの対角線魚眼の焦点距離は10.5ミリ。実は手元に、シグマ10~20ミリのズームレンズがあるではありませんか! もちろん、魚眼ではなく、普通の広角ズームレンズです。
 焦点距離だけでいうと、0.5ミリほど短いわけで、これでパノラマが撮れないわけがない。
 もし撮れるのなら、広角を用いる撮影時に、わざわざパノラマ用に魚眼レンズを別に持っていかなくても済むではないか? というよりも、魚眼レンズに手が出なくてパノラマ撮影をためらっている人もこれで問題一挙解決ではないか? と。
 さてさて、パノラマはできる? かな?

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▲シグマ10~20ミリでフルパノラマはできるか?

1.とりあえず撮ってみる

 もちろん、通常のパノラマ撮影どおり、パノラマ雲台にセットして、ノーダルポイントを設定します。ファインダーを覗いた感覚では、なんとなく対角線魚眼と同じカット数で間に合いそうですので、水平6+天地2カット、合計8カットを撮影しました。



 魚眼ではないので、普通の広角の写りです。なんとなく、つながりそうなのですが。

2.PTGuiでつないでみる

 とりあえず何も考えず、PTGuiに読み込ませ「align images」をクリック! するとどうでしょう。とんでもないつながり方に・・・・。

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▲つながっていそうで、ぜんぜんダメダメな結果に・・。

 実は予感はあって、写真を読み込ませた時にパノラマエディターを見ると、一枚一枚が扇型に広がっていました。どうも、これが怪しい。・・・これは、レンズが「魚眼」であると予め判断した結果のようです。

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▲画像が「変形」しているのは、魚眼レンズを使用していると仮定しているため。

3.レンズセッティングを変更してみる

 「レンズセッティング」タブをクリックして詳細を見ると、画像データから読み込んだEXIFデータを参照して設定しているレンズの条件がわかります。この場合は、「円周魚眼」、焦点距離「10ミリ」になっています。あれれ?
 
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▲どういうわけか「円周魚眼」扱いになっていました。

 ということで、レンズの設定を普通の10ミリにしなければなりません。これは、EXIFボタンを押して設定します。

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▲「Auto」のチェックを外して「Rectilinear(nomal lens)」にチェックを入れます。
Rectilinearは、「直線または線で特徴づけられる」というような意味だそうです。直線が直線に写るレンズというニュアンスでしょう

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▲パノラマエディタの表示が、普通のレンズっぽくなりました。

4.先が見えました!

で、「align images」をクリックすると・・・・おっ、だいたいできたようですよ。先が見えました。

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▲底を除いて上手くつながりました。

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▲底写真だけが変な位置にきています。

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▲底写真と他の写真とでコントロールポイントを設定します。画像の重なりが少ないので、難しいです。

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▲できました! が・・・・4箇所、画像が足りません!

 不足した部分は、水平に回した写真と、天頂・底面写真の隙間にあたります。

5.天頂と底面を余分に撮ります

 不足した部分を補うために、天頂と底面を撮影する時に、ついでにカメラを90°回転した写真も撮影することにしました。

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▲雲台のクリックを無視して、90°回転した写真を追加撮影します。

 撮影した写真を元写真に重ねると、こんな感じ。

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▲天頂の追加写真。

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▲底面の追加写真。

6.完成しました

 必要な写真を追加して作業するか、もしくは、最初から全ての写真を読み込ませることて、フルパノラマが完成します。
 ついでに、三脚なしの写真も追加し、明るさなども調整しました。

 実は面白いことに、全ての写真が揃っていると、レンズセッティングの設定を改めなくてもそのままパノラマが完成してしまいました。なので、隙間さえできないように撮影すれば、意外に簡単かもしれません。

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▲この写真をクリックするとパノラマが表示されます。

 画像の重なり部分が少ないため、つなぎ目がうまくいっていない部分があります。ノーダルポイント、コントロールポイントやビューポイントなど、かなり慎重に設定しなければならないようです。検討課題がまた増えてしまいました。

追記1-----------
 カイトワールドの小田川さんから、以下のような案内がありました。キャノンユーザーの方はご参考にしてください。
「いつも「360°全景パノラマの撮影と制作」のページ拝見しています。さすがプロの説明はわかりやすく大変参考になりますありがとうございます。今回のシグマ10~20ミリのページも読ませていただきました。
 私はキャノンのEF-S 10-22mmで撮影していますが、+60度 4枚、0度 8枚、-60度 4枚の計16枚で撮影しています。」

※(ここから久門) 同じAPS-Cでも、キャノンはニコンよりもちょっとサイズが小さいことを考慮しておく必要がありますが、ニコン+シグマ10~20ミリでも、このように撮影枚数を増やせばもっとつなぎ目もキレイに仕上がるのでしょう。ご案内、ありがとうございました。

追記2-----------
 PENCIL/QTVRDiaryの二宮 章さんからは、以下のような案内が届きました。これまたキャノンユーザーの方はご参考に・・・。ニコンユーザーは少ないのかな?
「前略・・・・特別なセッティングでの撮影をさせていただいております。それが、「Canon EOS7D + CarlZeiss Distagon 3.5/18mm ZE」です。
 水平12枚+仰角45°12枚+俯角45°12枚+天面2枚+底面2枚の、合計40枚撮影を±3EV幅で5枚撮影のHDR用撮影を行います。(iPhoneアプリ「DSLRemotePro」使用)
 すると、1枚の360×180°全方位撮影に、200枚の写真を要しますが、クオリティは、とんでもなく素晴らしい出来栄えです。
 滅多に出番はありませんが、たまにやると、嬉しくて小躍りしたくなります。超高品質撮影を行うセッティングということで、参考にしていただけましたら幸いです。」
※(ここから久門) レンズが・・・ソフトが・・そしてもはや、高解像度マルチロー撮影の趣ですね。しかも、HDRですし・・・。かなりハードルが高いですが、いつかチャレンジしてみたいです。

追記3-----------
 Panorama-だるまのつぶやきのだるまさんから、諸般の問題一挙解決するサイトをお教えいただきました。ありがとうございます! 下記です。超便利。ご参考に。
●各メーカーのレンズごとにどのように撮影すればよいか、などが一覧表示されています。
【レンズデータベース】
●EOS Kissのケースで、焦点距離毎に示されています。(PDF5ページ目)
【論文:野外対象物の高解像度パノラマによる記録法】

・・・・・今回はここまで。