PTGuiを使用すれば、手持ち撮影した写真のセットからでも、簡単にキレイなパノラマ写真を合成することができます。
 しかし、時々、何をどうしても上手く繋がらない、ということも経験するでしょう。
 原因のほとんどは、ノーダルポイントのズレ、なのですが、これをかなり精密に合わせたとしても、上手く行かないことがあります。
 こうした場合、原始的には、コントロールポイントを手動で数多く追加していくことで、よい結果に近づけていくことができるはずです。
 しかしこれはあくまで最終手段として、できればPTGuiの機能を上手く使うことでスムースに合理的につなぎ合わせたい、と思うのです。
 こうした目的のためのワークフローを整理します。

●経緯
 もともとをいえば、トキナ10~17ミリレンズを使った撮影で、ノーダルポイントを精度よく出しているにも関わらず、細かなズレが残る、という現象を解決するための方法として考えました。
 また、レンズ光軸が画面中心からズレている(シフトが掛かっている状態になっている)ために、通常の操作ではズレがとりきれなかったのではないか? との疑いを持ち、レンズメーカー(トキナ)に点検を依頼しました。
 結果は、「レンズ自体の性能としても許容値内である」とのことです。

トキナ107
▲レンズのボディ側の中心がズレているようにも見えるのは、レンズの性能調整の方法として、後群をシフトさせるためとのこと。これが、私のようなシロート目には「シフト」のように見えてしまうようです。(レンズメーカーには大変失礼な疑いを持ってしまいました。平身低頭・・・。)

●後日談
 その後、シグマ8ミリ+フルサイズ一眼レフの組み合わせでテストを行った時に、同じ現象にでくわしくました。シグマ8ミリは円周魚眼なので、光軸と画面中心のズレが見た目ではっきり分かります。なので、結果的に、光軸と画面中心のズレ(シフト)が原因で、上手く繋がらないケースがあること。これは、レンズセッティングの「シフト」で補正できること。さらに、このズレはレンズの製造においては許容範囲であること。などが分かりました。
 また、この項目ではレンズセッティングの「レンズ」の項目にチェックを入れていますが、これはこの問題の解決には関与しないこともわかりました。

1.通常操作の限界

 オプティマイズ結果としては「good」のレベルですから、まあまあ良い結果には違いありません。しかし、画像と画像をつなぎ合わせた部分のズレは、かなり気になります。
 ここには記載していませんが、不良コントロールポイントの削除や、ビューポイントによる補正などを行っても、良い結果にはなりませんでした。
 さらに、何度もノーダルポイントを調整し直してみたのですが、それでも良くなりません。
 何かおかしい・・・。原因が何かがわからない、そんなタイプのズレです。

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▲PTGuiに、読み込ませます。

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▲トキナ10~17を10ミリ側で使用すると、円周魚眼の設定になります。他の設定もいろいろ試しましたが、芳しくありませんでした。

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▲この時点での、パノラマエディターの表示。

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▲この時点での、パノラマエディターの表示。画像が重なる部分を拡大すると、細かなズレが気になります。ここだけではありません。

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▲画面の水平線(天地の中央)あたりでも、部分的につながりの悪いところがあります。コントロールポイントの修整でも、なかなか直りません。

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▲オプティマイズ結果は「good」なのですが、数字だけでは分からないものです。

2.レンズセッティングの「アドバンスド」機能を使う

 おそらくこんな問題でもないと、使わない機能かもしれません。レンズセッティングタブの下に「アドバンスド」と囲まれた項目があります。どうやらここが秘訣らしい。
 この部分は、レンズ特有の歪曲収差(Lens)や、光軸のズレ(Shift)を補正することができる項目です。数値を自分で入力する必要はなく、PTGuiが、コントロールポイントを元にほどよい値を計算するようです。

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▲レンズセッティングタブの「アドバンスド」で、LensとShiftの全ての項目にチェックを入れます

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▲オプティマイズタブも「アドバンスド」にして、Fov、a、b、c、HShift、VShift の全ての項目にチェックが入っていることを確認します。空きがあったら、チェックを入れ、オプティマイズボタンをクリックします。

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▲オプティマイズ結果が「very good」になりました。平均値も0.72・・・とかなりよい値に。

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▲簡単な操作で驚くほどよい結果になりました。つまり、レンズの歪曲収差(これだけでは良好な結果にはなりませんでした)、と光軸のズレ(こちらの方が影響大)の補正によって、問題のある箇所がほぼ完全に補正されたわけです。

●レンズセッティングの補正とは?
 分かる範囲で・・・。
 Fovは、画角の設定。a、b、c、は歪曲収差の補正曲線の値(歪曲の曲線を級数分解した時の、4次、3次、2次の数値が入るようです)、HShift、VShift が、レンズ光軸と画面中心のズレに相当します。前者は、通常操作でも加味されているようで、アドバンスでチェックを入れることでそれぞれのイメージごとに別の数値が算出されるようです。後者は、自分で設定しないと通常操作では加味されません。
 かなり難解で、私もよくわかっていません。すみません。

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▲補正した数値は、イメージパラメータタブの中で確認できます。コントロールポイントを正しく重ね合わせることを目標に、それぞれの数値を計算していくのでしょう。(多分)

3.厄介な三脚消しの操作

 三脚を消さない場合、ここまでの作業で済みますので、いちいちコントロールポイントを追加せず、簡単な操作で良好な結果を得られます。

 しかし、三脚を消す場合、三脚なしの画像を、上と同様に「レンズセッティング」の補正に加え、ビューポイントの補正も行って追加する必要があり、かなり面倒な手順になります。もっと簡単な方法はないものでしょうか。

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▲三脚なしの画像を追加し、三脚ありの写真との間で、コントロールポイントを設定します。

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▲オプティマイズタブで、「Yaw」「Pitch」「Roll」にチェックが入っていることを確認してオプティマイズ。この時点では、ビューポイントにはチェックを入れません。

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▲初期化してオプティマイズしますか? というアラートがでたら「NO」をクリックします。「Yes」をクリックすると、今までの苦労が水の泡になります(アンドゥで戻れます)。

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▲「very good」ですが、平均値は1.06・・・と少し悪くなりました。

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▲この時点での、パノラマエディターの表示。

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▲この時点での、パノラマエディターの表示。画像が重なる部分が、より悪い結果になっていますが、これは新しい画像が重なったためです。

4.追加画像の補正を行う

 この時点では、ノーダルポイントもズレた三脚なしの底面写真を追加しただけですから、底面の仕上がりはよくありません。追加した底面写真(Image8)に対して、ビューポイント(ノーダルポイント)の補正と、レンズの補正を行います。

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▲レンズセッティングタブで、追加した写真の「Lens」と「Shift」にチェックを入れます。

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▲オプティマイズ画面で、「View Point」と、「Fov」「a 」「b 」「c」「HSift」「VSift」にチェックを入れて、オプティマイズ。

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▲結果は、「very good」に。平均値も0.73・・・と良好になりました。

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▲この時点での、パノラマエディターの表示。都合を悪い部分を、これから消します。

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▲都合のわるい部分は、重なる順番や画像の消し方が悪いだけです。

5.三脚を消して完成

 「マスク」とイメージパラメータータブの「ブレンドプライオリティ」を使って、不必要な三脚と、都合の悪い重なり部分を修整します。

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▲マスクで三脚を消します。(追加画像)

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▲マスクで三脚を消します。(元画像)

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▲追加画像のブレンドプライオリティを20にします。

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▲完成した、パノラマエディターの表示。

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▲ピタリと重なり、都合のわるい部分がなくなりました。

●完成!
 十分満足できる仕上がりになりました。

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▲クリックするとパノラマムービーが開きます。

・・・・・今回はここまで。